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言語聴覚士による保護者向け学習会

  • kosaka28tomoko
  • 2月14日
  • 読了時間: 4分

 先日、保護者向けの勉強会、懇談会を実施しました。言語聴覚士を講師に、ことばの成長に必要な、言葉を下支えする力の積み重ねの話、日々の生活習慣の積み重ねが言葉の成長にいかに大事か、最後には読み書き算数といった学習に関連することなど、45分の短い時間ながら非常に内容の濃いお話でした。

 「言葉」というとイコール音声言語だと思っている人が多いと思うけれど、手話、ジェスチャー、絵カードなどさまざまな手段を用いて、気持ちや意思の繰り返しのやり取りをすることそのものが言葉だと世界的に定義されているそうです。お仕事をしていて、よく言葉が出ないことが心配なのに、どうして絵カードでやり取りをする練習ばかりをするのかとご質問をいただくことがあります。絵カードで練習していると、音声言語を話さなくなるのではないか、と。ただ、絵カードでも何でも、言葉はコミュニケーションの道具なので、気持ちを伝えたい、聞きたいという意思、モチベーションを高めないことにはなかなか促すのは難しいかなと感じています。カードを使いながら発声を促したり、どんな方法でも、伝わると嬉しくてもっと伝えたい、カードでもいいし、口から音を出してみたら伝わった、そんな積み重ねが大事かなと考えています。

 また、口から狙った通りに音を出すということ自体が、大人は自動的に行っていますが、とても難しい作業になります。口腔内のさまざまな小さな器官を協調させて動かす、とても難しい作業をするには、日常生活の中でしっかり食べる、しっかり活動する、そんなことがとても大切になってきます。姿勢を保持する、そんなことも、言葉と関係ないようで大きな影響があるようでした。

 学習についても、読み、書き、算数につながる認知能力について、丁寧に説明をしていただきました。文字の形や空間関係を捉える力、音のまとまり感、音の粒など音を処理していく力、言葉の持つ意味、を瞬時にマッチングさせて日々読字をしているので、読字一つとっても大変複雑にさまざまな力が関係しています。それだけでなく、眼球運動、手先の器用さなど、本当にさまざまな要因が影響しています。算数の場合でも、数字を音として言う、実際に操作する、数概念がわかる、計算の手続きを覚える、その際空間認知が苦手だったりワーキングメモリーに弱さがあったりすると、マス目がずれたり繰り上がり繰り下がりに混乱が生じる、ここでもさまざまな力が影響しています。私たちは、「学習が苦手」という主訴に触れると、その子の知的発達水準がどうか、だけでなく、学習に影響するどの力に困っているのかを探っていく作業から始めています。

言語聴覚士の先生の締めの言葉として印象的だったのが、「とにかくなんでも積み重ねですね」でした。本当に、そうですね。学習の悩み、言葉の悩み、単体で見ていくというよりは、積み重ねの中でどこに引っかかりがあるのか、それを紐解いて保護者の方と共有しながら、お子さんに楽しく練習する、無理なく工夫できる方法を探る、それが私たちの仕事だなと改めて感じました。

 

 懇談会では、「Good &New 最近あったちょっといいこと」と「私のプチ特技」を、職員と、参加されていた保護者の方にまず自己紹介を兼ねてお話してもらいました。一緒に働く職員同士でも、知らないことを知れてクスッと笑えたり、保護者の方の意外な一面を知れたりして、とても楽しい時間でした。前半の言語聴覚士の先生のお話の締めのあいさつでも「これからも、皆様と一緒に伴走させていただきたいです」とありました。この伴走のイメージは、私が事業所を立ち上げた思いと完全に一致するもので、働く人たちや、保護者の皆様、本来知らなくても別に良いことですが、お互いの人となりを少し知れると、また協力的な関係で伴走させてもらえそうかな、そんな風に感じる一幕でした。

 質疑応答では、本当にさまざまなご質問が出ました。ご質問でありながら、普段事業所でお会いしているお子さんたちの、家庭での様子を濃く知ることができて、私たちの仕事へのフィードバックとしてもとても聞けて良かった内容ばかりでした。また、私は常々、さまざまな勉強会や研修会に出る中で、お話を聞いていていろいろなお子さんの顔が浮かんだり、いろいろな人とのシーンが思い出される、そんなさまざまな連想を呼ぶお話って、すごく良いなと感じています。今回の勉強会はまさにそうした時間になったようで、保護者の方から「上の子のことも思い出して、上の子のことのこういう行動にすごいためになった」等のご意見をいただきました。これは、神経発達症という単体の困り感があるわけではなく、人の発達の歩みの中で、どこかに困り感を持つ、という包括的な発達の課題の捉え方が伝わっているということだなと感じました。

 

 大きな、保護者向けの勉強会は今のところ年に1回開催しておりますが、今後も、たとえば少人数でざっくばらんに質問会など、皆様と意見交換できる場を設けていきたいなと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。

 
 

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