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「自立」に大切なこと

  • 2024年5月8日
  • 読了時間: 5分

児童発達支援や放課後等デイサービスは、通ってくるお子さんたちの自立を促していく場所です。「自立」はとても曖昧な表現で、その人によって自立の在り方は異なるなと感じています。 

一人でなんでもできること、というのが一般的な自立のイメージかと思います。

療育でも、なるべく自分でできることを増やしていこうと考え関わっています。



たとえばお着がえを例にお話します。

お手伝いなく自分で準備、お着がえ、脱いだ服の片付けまでできることを最終目標に、いまどこまでできているのか、難しいのはどの点か、どのようなお手伝いがあったら頑張れそうか、様子を見て考え(アセスメントですね)サポートをしていきます。その中で、着替え方の理解が難しいという知的な問題なのか、わかってはいるけど手先の問題なのか、など背景にある要因も考え、お着がえの練習以外にも、遊びの中でその力を使う楽しい遊びを組み込んでいきます。

こうして取り組み、着替えられるようになったとします。それでゴールかというと、スキルとして着替えることができる力を身に着けても、気持ちが整わなくて、頑張る意欲を持てず、着替えも含めて何もやらなくなってしまうこともあります。

そうしたら、今度は着替え方のスキルの方ではなく、どうしたら気持ちが整うのか、気持ちのコントールや表現を一緒に考えたり、気持ちが穏やかに過ごせるような環境を整えたりします。


これは、大人も一緒だと感じています。スキルとしてはいろいろできる力を持っていても、つらい環境におかれ、精神的に失調してしまい、意欲を保てなくなることがあります。心の病気として診断され、長くお休みする必要が出ることもあります。そういうときは、お休みして、周りのサポートを受けられると良いですよね。


自立には、スキルだけでなく、気持ちの面も大いに関係しているように感じています。大人を例に出しましたが、「自分の今の頑張れる度はこれくらい、これ以上やると自分はしんどくなる」と自分で知っていて、それを周囲に伝えられることはとても大切な力です。バリバリ働きたい、フルで長時間頑張るよ、という人もいれば、自分は根詰めすぎるとしんどくなる、週に3,4回くらい、短時間で勤務して、家で自分の時間をしっかり確保しないとつぶれてしまう、という人もいます。どちらが良いとか悪いとかではなく、それがその人の在り方なので、自分のペースを守って長く元気でいるために、そのペースを自覚して、そのペースが守られる環境で過ごせると良いなと思います。その環境を守るためのサポートは積極的に受けると良いと思います。


子どもたちもそうです。通ってきてくれている子たちの中には、登校がしんどい子もいます。もちろん、登校がしんどくないように、先生方にご相談されたり、環境を工夫したり日々取り組んでいるご家庭ばかりです。そうした日々の取り組みの中で、今ある環境で、自分がしんどくならないように考えて先生と相談し、登校の時間を調整する子たちもいました。これは、自分や自分の環境を知り、自分のペースを知り、相手に伝えて、自分のペースを守る環境を作る、とても自立的な働きです。


自分で自分の力や環境、ペースを考えて知ることが難しい子は、周囲の大人が一緒にこの作業をやってあげたいなと思います。どれくらい自分で頑張れて、どこからは難しくてサポートが必要なのか、頑張れる度はどれくらいで、どのようなことが心の休息になるのか。楽しい、嬉しい、好きはもちろん、疲れた、休みたい、を自分で感じることができるか、難しけば大人が気づいて「いま、疲れている」と提示し、疲れた、休みたい、を知ることも大切です。そうして気づいた自分の様子を、どのように人に伝えるか。そうしたアセスメントを、周りの人が共有しておく。こうして、難しいところはサポートを受けながらも、その子なりの自立の形で、社会に居場所があり続けると良いなと願います。


今は、どんどんいろいろなツールが出てきて、たとえば耳が聞こえない、聞こえにくい人も、スマホの音声変換ツールで会話をサポートしてもらえます。読み書きに苦手さのあるお子さんたちにとって、タブレットはとても大切なツールになっています。中嶋はいつも急いでいますが、自転車をこぎながら、スマートウォッチでかかってきた電話に出ることができます。自分のことを知って、困ったことはサポートしてもらいながら、いつも元気でなくても、元気だったり落ち込んだりしながら、社会とつながっていく。そうした姿が「その人の自立」かな、と感じます。


そうした思いから、いま子どもたちへの関わりを考えていくと、日々起こるいろいろな出来事、そうした出来事を題材に、一緒に考えて、自分はこういう環境だと過ごしやすいな、こういうとき先生が手助けしてくれると楽しく遊べるな、と感じる経験を積むことが大切になります。困ったときに人に発信をしたり、周囲からの手助けを自然に受け入れたりできることは、その子の自立の力になります。

一人でできることを増やす、困ったときに人に頼る力をつける、逆説的ですが、どちらも大切です。そして、それを支えるために、心の元気を保つこと、元気を保つために自分を知ること、大事にかかわっていきたいです。

 
 

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